2024年度、政府は経済の好循環を目指し、サラリーマン所得の「定額減税」を導入しました。
6月、7月と実際に給与明細を見たとき、皆様は「減税感」や「経済の好循環」を実感できたでしょうか?

定額減税は、6月1日時点で在籍している会社ごとに計算されます。
そのため、6月1日以降に転職した場合、所得税の月々の定額減税は転職先の会社で計算されません。
年末調整や確定申告で精算されます。また、個人事業主の方も確定申告で定額減税が適用されます。
住民税の減税については、転職後も普通徴収などで継続されますが、市役所などから「納付のお知らせ」が届きますのでご確認ください。

転職された方、または転職予定の方は、転職時に在籍していた会社から必ず源泉徴収票を発行してもらい、転職先での年末調整時に提出してください。

給与計算担当者にとって、定額減税は年末調整での作業負荷増加につながります。
源泉徴収額の還付調整が完了するまで、気が抜けない状況が続きます。
大手の給与ソフトを使用している場合、年末調整時のプログラム改定がまだ完了していない可能性があります。
改定は12月頃に行われる見込みですが、担当プログラマーの方にとっては慌ただしい年末年始となるでしょう。

5月中旬に総理大臣が「減税額がはっきりわかる給与明細を作ってください」と発言した際、担当プログラマーの方々は「余計なことを!」と感じたのではないでしょうか。
12月の年末調整の直前に新たな政府発表などをされるのは避けてほしいものです。

今回の定額減税は、2024年度のみの実施です。
定額減税は、恩恵を受けるサラリーマンと、事務作業が増える給与担当者に、それぞれ異なる影響を与えています。
今後も定額減税の制度や運用について、注視していく必要があります。