企業の成長と持続可能性を支えるためには、「インテグリティ(Integrity)」が重要です。
これは、誠実さ、正直さ、道徳的な完全性を意味し、企業と社会に対する責任感を含みます。
現代の経営では、この価値観が企業の在り方として注目されています。

かつては「ワンマン社長」が会社を成功へ導く象徴のように語られた時代もありました。
しかし、今ではワンマン経営が企業の発展を妨げる要因と見なされることが増えています。
創業者社長の場合、会社の立ち上げ時の苦労やすべての決定を自ら下してきた経験から、「自分がすべてを決める」という姿勢を持ち続けることがあります。
「会社で起こることはすべて自分の責任」「会社敷地内では自分が憲法」といった考えに誇りを持つ社長も少なくありません。

その一方で、社員側も「会社=社長が決めたこと」という認識のもと、社長の方針に従う場面が多々ありました。
社会は常に変化しています。
現在では「モラルハラスメント」という言葉が広まり、特に職場での倫理的な問題が指摘される時代となりました。
しかも、モラハラをしている本人がその自覚を持っていない場合が多いと言われます。

ワンマン経営の企業では、社長が無意識のうちに「モラハラ」の加害者となり、社内に深刻な悪影響を及ぼす可能性があります。
新しく入社する社員も、職場の雰囲気や社内文化を敏感に察知します。
誠実さや正直さを重視した行動が正しく評価されていないと感じれば、早々に転職を考えることも珍しくありません。

また、創業者社長は「これまでの自分の考えや行動が正しかったからここまでやって来られた」という強い自覚を持っています。
この自負は尊いものですし、深い敬意を表するべきことです。
同時に、「まだまだ会社を発展させるためには変えていかなければならない」と強く願うのも社長自身です。
その姿勢自体も価値あるものです。
しかし、ここで陥りがちなのが「会社を変えるけれど、自分は変わらない」という矛盾です。

社会通念やビジネスの環境が大きく変わる今だからこそ、社長自身の変化が問われています。
社内では社長の発言と行動が注目され、それが社員の信頼や会社の未来を左右します。
これからの時代、企業全体でインテグリティを高め、社長自身も変化を受け入れることが、持続可能な成長への鍵となるでしょう。

変化を恐れず、自らを見つめ直し、チームと共に未来を築く姿勢。
今の経営者に求められる「新しいリーダーシップ」と言えるのではないでしょうか。