この数年来、全国のスーパーやコンビニで「自動釣銭機」や「セルフレジ」が多く導入されるようになりました。導入のきっかけは、「ニセ札・ニセコイン判別」技術の飛躍的な進歩と、新型コロナ感染拡大防止対策の一環、そしてレジに関わる人員の人件費削減が大きな理由と考えられます。

「自動釣銭機」は、小売業界でPOSレジが導入され始めた1990年代から大きな関心が寄せられていました。当時、レジ周りではお客様との金銭授受のミスや、手作業によるお金の紛失など、従業員管理に大きな影を落とす問題が少なからず発生していました。しかし、当時の技術では自動釣銭機の処理スピードが遅く、ニセ札チェックの精度も低いため、機械内でお金が詰まるトラブルも多く、実用には耐えませんでした。

現在では、自動釣銭機は普通に導入される店舗が増えています。一方で「セルフレジ」の導入をためらう店舗もあります。最近、ヨーロッパではセルフレジを廃止したり、導入を見送る小売店も出ているようです。その理由は「セルフレジ導入による客単価の低下」が大きな要因とされています。お客様は少量の買い物時はセルフレジ、多量のまとめ買いは有人レジと使い分ける傾向があるためです。この動きが日本にどう影響を与えるかは注目されるところです。

日本では、自動釣銭機の普及は進むと見られます。導入価格が以前より格段に安くなり、補助金や助成金の活用も容易になっているためです。2024年7月現在、「IT導入補助金」「業務改善助成金」「ものづくり補助金」「働き方改革推進支援助成金」「小規模事業者持続化補助金」などが利用可能です。詳しくは、それぞれの補助金・助成金の要項や窓口に問い合わせてください。

セルフレジについては、「精算機との分離方式」でのレジ運用が主流になると考えられます。特にスーパーや量販店などのレジ周りスペースが確保しやすい施設では、店員がバーコードを当てながらお客様と会話しつつ精算金額を確定し、隣にある精算機でお客様自身がお金を支払う方式が当面の主流となるでしょう。

セルフレジと自動釣銭機の導入は、今後も進化し続けるでしょう。お客様の利便性向上と店舗運営の効率化を両立させるために、これらの技術の活用が一層重要になってくるでしょう。